つめかえパックリサイクル

リサイクルの行方 リサイクラーってなに?

【つめかえパックリサイクル PROJECT COLUMN VOL.4】

2023.04

今回は、本プロジェクトがゴールに掲げる「水平リサイクル」達成のために重要な、「リサイクラー」の役割と、使用済みつめかえパックをリサイクルする意義についてお伝えします。

アミタ株式会社は、本プロジェクトのコーディネーターとして、リサイクルフローの設計と、小売店や日用品メーカー、リサイクラーの取りまとめを担当しています。本プロジェクトは、使用済みつめかえパックの「水平リサイクル」を実現するために、自治体と製造・販売・回収・再生に関わる複数の企業が“協働”で取り組んでいます。つめかえパックの水平リサイクルは決して容易ではなく、直面する様々な課題を解決するべく、参加企業の皆さまと知恵を出し合いながら進めています。

 

リサイクラーの役割

「リサイクラー」とは、その名の通り、「リサイクル」、ペットボトルや紙パック、アルミ缶など私たちの生活から出る廃棄物をもう一度資源として有効活用できるカタチに戻す役割を担っている業者のことで、「再資源化事業者」とも呼ばれます。コラム1で解説されたとおり、本プロジェクトでは、使用済みつめかえパックは花王株式会社和歌山研究所へ運ばれ、リサイクル技術の研究開発に使用されます。しかしその手前で、適切なリサイクルを可能するための「選別作業」と、神戸市内の小売4社75店舗(2023年3月時点)から使用済みつめかえパックを「回収」することもまた、このプロジェクトを支える重要な役割であり、これを担うのが大栄環境株式会社です。

大栄環境では、つめかえパックを3種類に選別しています。本プロジェクトに参加するメーカーのつめかえパックを『A品』、その他メーカーのつめかえパックを『B品』、つめかえパックではない異物を『C品』と呼んでいます。大栄環境によって選別された後、A品は花王の和歌山研究所まで運ばれます。B品は現在、他のリサイクラーに相談しながら、リサイクルの方法を模索しています。C品はRPFという固形燃料にリサイクルし、石油や石炭の代替として製紙会社や鉄鋼会社に利用されています。

なぜA品とB品に分ける必要があるのでしょうか。つめかえパックならばすべて同じように思えますが、実は、現在の技術では水平リサイクルしやすいものと、そうでないものがあります。それをきちんと仕分けられるように、本プロジェクトの参加メーカーの商品については、水平リサイクルしにくいつめかえパックがないか、あればそれはどの商品なのかを事前に情報提供していただいています。安心してリサイクルを進めることができるA品を選別するのには、そのような理由があるのです。

大栄環境ではさらに、毎月参加メーカーごと・店舗ごとの回収量や、異物の混入度合いの評価などを行い、報告しています。こうした報告は、プロジェクトの実績の集計だけではなく、よりつめかえパックの回収量を増やすための方法や、異物の混入を減らす工夫を検討するための、貴重な情報となります。

 

つめかえパックリサイクルの必要性

突然ですが、みなさんは使用済みつめかえパックが通常どのように処理されているかご存知でしょうか?つめかえパックは家庭から廃棄された後に、燃えるごみ、またはプラスチックごみとして処理されることが一般的です。日本のプラスチック廃棄物はリサイクル率が86%と言われていますが、実はそのうちサーマルリカバリー(熱回収)が7割以上を占めています。サーマルリカバリーは、廃棄物を燃やした際のエネルギーを回収するリサイクル方法です。しかし、燃やされたプラスチックは、再びプラスチック製品に戻すことができません。また、燃やすことで地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)が排出されてしまいます。使用済みつめかえパックも、現状はその多くがプラスチック製品に戻ることなく燃やされて二酸化炭素を排出し、新しいつめかえパックをつくるために資源が消費され続けています

こうした現状をより良いあり方に変えていくことを目指して、本プロジェクトではつめかえパックを再びつめかえパックに生まれ変わらせようとしているのです。コラム2で解説されたとおり、「つめかえ」文化が広く普及・浸透した日本だからこそ、つめかえパックの「水平リサイクル」に取り組む意義が大きいと考えています。

 

つめかえパックの水平リサイクルの実現には、皆さんのご協力も不可欠

今回のコラムでは、本プロジェクトにおけるリサイクラーの役割を中心にお話してきましたが、リサイクラーを含めた参加企業や自治体の努力だけでは、使用済みつめかえパックの水平リサイクルは実現できません。そう、生活者のみなさんのご協力も不可欠です。

回収ボックスが設置された店舗に、生活者のみなさんが使用済みのつめかえパックを持ってきていただくところから、リサイクルフローがスタートします。持ってきていただく前には、パックの上部などを切り取った上で、水でパックの中を2回ほど洗い、よく乾かしていただくことをお願いしています。つめかえパックがきれいに洗われ、乾燥されていると、回収後の選別作業やリサイクルがとても効率的になります。みなさんのひと手間が、水平リサイクルのために確実につながっています。いつもご協力ありがとうございます。

神戸市・小売・日用品メーカー・リサイクラー、そして生活者のみなさまも想いを一つにして、つめかえパックの水平リサイクルを実現していきましょう!

(アミタ株式会社)

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