プラスチックごみ削減

身近な買い物を通して考えるプラスチック問題 「脱プラショッピング&クッキング」

マルシン市場~レンタルスペース「marushin 47(よんなな)」

2021.08

マルシン市場~レンタルスペース「marushin 47(よんなな)」 2021.6.22

みなさんは買い物をするとき、プラスチックについて考えることはありますか?
昨年始まったレジ袋有料化で、会計時は少し意識するようになったかもしれませんが、購入商品についてはどうでしょう。その多くはプラスチックに包まれていませんか?

今回は、身近な買い物からプラスチック問題を考えるイベント「脱プラショッピング&クッキング」をレポートします。

兵庫区湊川エリアにある神戸新鮮市場の最北端に位置する「マルシン市場」に集まったのは「ママの働き方応援隊 神戸兵庫校」の皆さん。
「ママの働き方応援隊」は、子育て中がメリットになる働き方をつくり、女性が出産後も「働く」ことを通じて社会と繋がる「場」を作っている団体で、その活動は全国に広がっています。
近年は環境問題に対する取り組みも行っているそうで、今回、買い物と料理を通して、ママのプラスチックへの意識を変えるきっかけにしたい想いで「脱プラショッピング&クッキング」を企画したとか。

プラスチック問題、私たちには何ができる?

マルシン市場内にあるレンタルスペース「marushin 47(よんなな)」は、ご近所のみなさんの情報交換やコミュニティの場として作られたおしゃれなカフェのようなスペース。「脱プラショッピング&クッキング」の参加者は、まずはここでSDGsとプラスチック問題について学びます。
講師は、ママの働き方応援隊 神戸東校 学校長であり、SDGs講師もつとめる石丸真理子さん。今回考えるプラスチックの問題は、SDGsの17の目標の中でも「14:海の豊かさを守ろう」につながるといいます。

世界中の海岸に漂着しているプラスチック、海鳥の胃に詰まったプラスチックなど、深刻な状況を初めて知った参加者は、毎日当たり前のように使っているプラスチックの「その先」を知り、「プラスチックは自然や動物に悪影響。もっと視野を広げて考えないと。」「自分に何ができるのか、日常生活に落とし込んで具体的に考えたい。」など、日常生活とプラスチック問題が少しずつ繋がっていきます。

「魚など、海の生き物にプラスチックが蓄積されると、その魚を食べる人間にも取り込まれます。今、自分が何をすべきか、何ができるかを考えて行動してほしい。」と、石丸さん。
「私の子供が大人になる頃には、脱プラなどの環境にやさしい行動が当たり前になってほしいです。」「プラスチックを減らすためには、お店側の意識の変化も必要だと感じます。私たち消費者から、お店に声掛けしていきたいと思います。」「手に取っているプラスチックがどこに行きつくのか、どんな問題を起こすのか。考えを巡らせたいです。」など、多くの気づきや想いを得て、いよいよ脱プラショッピングへと進みます。

エコバックや容器を持って、市場で買い物「レッツ脱プラショッピング!」

マルシン市場は、「いいものを買いたいならマルシンへ」と言われるほど、肉・魚・野菜などの生鮮食品や惣菜・加工食品のレベルが高いことで知られ、食にこだわりのある人や近隣住民はもちろん、飲食店などの仕入れにも人気の市場。
そんな新鮮食材たっぷりの市場で、参加者は2チームに分かれ、脱プラスチックを意識した買い物をスタートしました。

最初に向かったのは、八百屋さん。
商品の多くがラップやポリ袋、トレーなどのプラスチックに覆われています。お店の方に脱プラの趣旨を説明すると、プラスチックが使われていない商品を探してくれました。
ネットに入った玉ねぎを見て、お店の方が「玉ねぎのネットは石鹸入れに再利用できるのよ。」と提案してくれ、「それは使い捨てにならない、いいアイデアですね!」と盛り上がります。お店の方と話しながら、楽しく買い物ができるのは対面販売の市場ならでは。

次は豆腐屋さん。
おいしそうな揚げ豆腐を見つけましたが、プラスチックの容器に入っています。お店の方が「プラスチック容器から、お持ちの容器に移し替えることはできますよ」と提案してくれました。すると参加者から「そのプラスチック容器はどうするのですか?」との質問が。
お店の方は申し訳なさそうに、「プラスチック容器は捨ててしまいます。1回使ったら、衛生上、再利用できないんです。」とのお返事。
今回は「脱プラショッピング」なので、揚げ豆腐はあきらめ、代わりにプラスチック容器に入っていない厚揚げを買い、耐熱容器に入れてもらいました。

そして最後は魚屋さん。
「ベラは焼いたら皮ごとおいしいよ。」「アジは南蛮漬けにしたらいいよ。」
魚屋さんならではの知恵で、おすすめの食べ方を教えてくれます。お店の方と相談しながら、今日選んだ魚はイワシ。魚をさばいてもらえるサービスを利用し、「骨もいただけますか?」とお願いしました。脱プラだけでなく、できるだけごみを出さない工夫も忘れません。

ごみを出さない環境にやさしい料理

容器から取り出せない調味料はあるものの、その他はプラスチックなしの買い物ができました。玉ねぎのネットは再利用目的で買いました。参加者の意識はもちろん、対面販売の市場ならではの成果です。marushin 47に戻った参加者は、食材を見ながら料理のメニューを考え、キッチンに入ります。

どこまでゴミが減らせた?

「大根の皮はどうしましょう?」 意識して料理をすると、普段は捨ててしまう皮や葉が気になり始めます。「大根の皮はきんぴらに。」「大根の葉やニンジンの固い部分は細かくしてみそ汁に入れてみたら?」「ブロッコリーは茎も使いましょう。」と参加者からアイデアが飛び交います。

結局、決まったメニューは①イワシのかば焼き、②イワシの骨せんべい、③大根の皮とニンジンのきんぴら、④冷やしきつねぶっかけうどん、⑤ブロッコリーとトマトの和え物、⑥蒸しトウモロコシ、⑦野菜の出汁が効いたお味噌汁、⑧大根の葉の塩漬け⑨トマトのサラダの合計9種類と、とても盛りだくさん。いつもなら捨ててしまう食材が大活躍した栄養満点料理の完成です。
イワシの骨せんべいは香ばしくてお酒のあてにぴったり。大根の皮のきんぴらは、歯ごたえがあって味がしっかり染みています。味噌汁はかつおや煮干しでだしを取っていないのに、野菜をよく煮込むことで素材の旨味がたっぷり。
参加者全員でアイデアを出し合い、食材を余すことなく使い切った結果、今回出たごみはわずかこれだけでした。

ママのプラスチックへの意識を変え、みんなで楽しく続ける

最後に、ママの働き方応援隊 神戸兵庫校代表の永安陽子さんにお話をお聞きしました。
永安さんは「ママ」がプラスチック問題を考える意義をこう考えます。
「家庭から出るプラスチックごみが多いと聞きます。ごみを減らすためには、意識を変える必要がありますね。特に普段、何気なく買い物や料理をしているママにきちんと伝えることが重要だと思います。」
また、買い物の意識についても気づきがあったといいます。

「メニューを決めて買い物をすると、どうしてもプラスチックに包まれたものを買ってしまいます。今回のように、「プラスチックを買わない」という目的で買い物をすると、ごみを大幅に減らすことができました。何を目的に買い物をするのか、その意識の差が大切だと感じます。」
さらに、行動を続けるためのポイントも見えてきました。
「今回のようにみんなで一緒にやることで、様々なアイデアが生まれます。みんなで行動すると楽しく続けられると思います。」

気づきを大切に。やってみよう!

今回のイベントは、当たり前に買っていたもの、捨てていたものを意識するきっかけになったようです。食のプロと対話しながら買える市場の良さも再認識できたのではないでしょうか。みなさんも楽しみながら、市場で脱プラショッピング&クッキングに挑戦してみませんか? (取材・北村胡桃)

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