資源回収ステーション

空き家再生で誕生!交流も育む塩屋の資源回収ステーション「エコノバえがお」

建築家と作った、子どもがわくわくできる資源回収ボックス

2026.03

神戸市垂水区塩屋のまちに、68ヶ所目の資源回収ステーションとして2026年2月に誕生した「エコノバえがお」。ここは、ほかのエコノバとはちょっと違います。大きなキッチンがあり、自由に遊べるおもちゃがあり、赤ちゃんからお年寄りまでが交流できる「フリースペースえがお」の一角にあるんです。しかも、資源回収ボックスには、思わず子どもが夢中になる楽しい仕掛けが。

 

長年使われていなかった空き家をリノベーションして、このユニークな場をつくった、オーナーの高井美起子さんと、建築家の秋松麻保さんにお話を伺いました。

左から)建築家の秋松麻保さん(融点株式会社 取締役)、オーナーの高井美起子さん(合同会社訪問看護ステーションえがお 代表)

 

塩屋の人のつながりから、ぴったりの建築家と出会う

 

高井さんの自宅の離れとして、長年空き家になっていた建物。生まれ育った塩屋のまちに役立つ形で「どうにか活用したい」という思いを10年以上温め続けていた高井さんは、知人の紹介で建築家の秋松さんと出会います。

 

高井さん:最初は、この重荷をどうしよう…って思っていたんです。やりたいことがあっても、どこからどう手をつけたらよいのか分からず、困っていました。でも、築100年のヴォーリズ建築※でもある母屋を2021年に素敵にリノベーションしてくださった時にもお世話になった、シオヤプロジェクトの小山直基さんが「離れも林工務店で改修するなら、空き家改修にも詳しくて、工務店とも上手に付き合えそうな秋松さんという建築家が塩屋にいるよ」と紹介してくださって。それがすべての始まりでしたね。
※ヴォーリズ建築:明治〜昭和にかけて来日した、アメリカ人建築家・W.M.ヴォーリズが手掛けた近代西洋建築物のこと。代表作に、神戸女学院大学、フロインドリーブ本店(旧神戸ユニオン教会)、ヴォーリズ六甲山荘 など。

 

秋松さん:私は2017年から塩屋に住んでいて、2021年より自宅敷地内の別棟を改修して、まちライブラリー「世界のはしっこBooks & Field」を開設し、3年間「住み開き(自宅の一部を地域に開放し、セミパブリックな場を設ける活動)」をしていたんです。これは、神戸市の空き家改修補助金活用の第1号事例でもあります。このような私の「住み開き」の経験と高井さんの「まちに開きたい」という思いが重なり、空き家の改修事例を知っていたこともあって、伴走できる建築家として小山さんにお声がけいただきました。

改修前の建物は、2軒の家をつなげたような特殊な形だったんですが、1階を広いワンフロアにフルリノベーション。真ん中にあった階段も撤去し、高井さんの要望だった「大きなオープンキッチン」を設置することができました。

 

高井さん:母屋で運営している「どなたでも食堂」は、コロナ後にテイクアウトが中心となりましたが、将来的にはイートインで、多世代が交流できる「第2のリビング」のような場所を作りたいと考えていました。というのも、訪問看護の仕事をしていて、孤食を防いだり、食事を通して地域とつながれる場が必要と感じていたからです。新しくできた「フリースペースえがお」に対面式キッチンを導入し、「食を通してつながる場」ができて、描いていた夢が一つ形になりました。

 

わくわくする仕掛けがいっぱい「エコノバえがお」誕生!

そんな地域に開かれた「フリースペースえがお」の一角に、ユニークな資源回収ステーション「エコノバえがお」が誕生しました。「エコノバ」は、プラスチックなどを中心に先進的なリサイクルに挑戦するという神戸市の取り組みです。その一環として、環境局から直接連絡があったことがきっかけです。

 

秋松さん:エコノバが、資源回収だけでなく、交流の場でもあると聞いて、まさにここがぴったりだと思いましたね。高井さんもエコノバの設置に快諾いただき、環境局の方との打ち合わせの中で、「ここならではの回収方法ができないか」という提案がありました。私は、子どもたちが「楽しい」というイメージをもって、環境問題に触れてほしいなと思い、どうしたら楽しく資源回収できるかを考えました。

 

この「エコノバえがお」で回収しているのは、豆腐容器、ペットボトルキャップ、プチプチ、つめかえパック、歯ブラシの5品目です。他のエコノバと同様、洗って、乾かしたものを回収しています。

 

この5品目を、どうしたら楽しく回収できるか。まずペットボトルキャップは、コロコロ転がせるな、と最初に思いつきました。ビー玉転がしのようにはうまく転がらず、試行錯誤しましたが、最終的には工務店さんが上手に形にしてくれました。

 

豆腐容器は、道具を使って押しつぶして回収ボックスへ。この道具、実は古い碁盤を使って作っているんです。リユースですね。

 

プチプチは、麺棒のような道具でつぶして、音が鳴るのを楽しみます。スケートボードの車輪を使っています。力の入れ具合や角度、速さなどを感じながら、夢中でやってくれる子も。

 

歯ブラシとつめかえパックは、形合わせのような穴から入れることで、回収ボックスに入ります。少し高い位置にあるので、保護者の方が抱っこしてあげてください。

 

遊び心とアイデアが詰まった「エコノバえがお」の資源回収ボックス。やって来た子どもたちが、目を輝かせながらチャレンジしていて、うまくできるとにっこり笑顔になるのが、とても印象的でした。

 

高井さん:壁一面のトイライブラリー(貸出用のおもちゃ)の棚の一角が、エコノバのスペースなのですが、実は幅が60cmしかなくて。最初は大丈夫かな?と思いましたが、秋松さんと工務店さんがうまく収めてくださいました。

 

秋松さん:このサイズに収めることができたので、地域交流の場に溶け込む形で、エコノバを設置できるという一例になれたかなと思います。

 

資源回収が「その子の普通になる」という願い

 

「エコノバえがお」は、ただ資源を集める場所ではありません。秋松さんと高井さんの、未来を担う子どもたちへの温かい思いが詰まっています。

 

高井さん:まだ開設したばかりですが、皆さん楽しんでいただいています。ここで幼い頃に体験することで、資源回収が子どもたちにとって「普通になる」ということに意義があると思っています。もっと多くの人に知ってもらい、塩屋の町中の資源を集めたいですね。

 

秋松さん:子どもにとって、すべては出会いです。自宅のまちライブラリーに図鑑をたくさん置いたときもそうですが、数字や授業からではなく、「楽しい」という原体験から環境に触れてほしい、と考えています。「エコノバえがお」のことも、全てを覚えていなくてもいいんです。大人になってから、ふとここでの経験がつながって生きてくる。幼少期の原体験として、記憶のどこかに刻まれてほしいと思っています。

 

これからもっと「ひらく」場所へ

 

高井さんの活動は、「エコノバえがお」だけでなく、「どなたでも食堂」、不定期の「トイライブラリー」(おもちゃ図書館)や衣料品のリユースなど、多岐にわたります。地域の方々にもっと喜んでもらいたいという高井さんの思いが、場を通じて広がりを見せています。

 

高井さん:昔から住んでいる人も、引っ越してきた人も、ここでゆるやかに出会うことで、地域とのつながりができ、子どもを通して大人も仲良くなれる。じわじわと、すごく大事な場所になっていくような気がします。場をもつと、不思議と色々な人とつながるんです。ずっと温めてきたことが、少しずつ形になってきている今、願い続ければかなうんだなぁと感謝の気持ちでいっぱいです。

料理もイベント企画も運営も、全部を私がするのではなく、たとえば、料理をする人が自立できるような場にもしたいし、何か得意なことを活かせる場にしたいんです。仕事として社会に出ることは時間的にも心理的にもハードルが高いという人が、最初の一歩を踏み出せる場にもなればいいなと。柔軟に、可能性が広がる場所にしたいんです。レンタルスペースとしての活用や、近所の居酒屋さんの出張ランチの実施など、地域との連携も生まれています。これからも、大きなことはできませんが、じわじわーっとゆっくりしたペースで、交流が広がるような場を作っていきたいです。

 

秋松さん:高井さんの「地域のために何かがしたい」という思いは、本当に素敵だなと思います。私がエコノバ開設に携わるのは、初めての試みでしたが、塩屋の地域性とこの場がなじんでいると感じます。近隣の方は、遠慮せずに、どんどん利用してほしいですね。この温もりある空間で、高井さんの笑顔がきっとむかえてくれるはずです。

空き家が、地域をつなぎ、資源循環を育むポジティブな拠点へと生まれ変わった「エコノバえがお」。秋松さんと高井さんの「思いはかなう」という言葉どおり、地域を巻き込みながら、これからも、やさしいつながりを広げていくことでしょう。ぜひ一度、このユニークな「エコノバえがお」に足を運んでみてください。

 

 

エコノバえがお

https://www.city.kobe.lg.jp/documents/83295/egao.pdf

場所/神戸市垂水区塩屋3-12-44 フリースペースえがお

時間/10:00〜16:00

定休日/毎週月曜・水曜休、毎月4日・18日・20日・26日休、不定休あり

※お出かけ前には、公式インスタグラムで営業情報をご確認ください。

https://www.instagram.com/egao1971/

 

 

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